イケメンSPに守られることになったんですが。
それはそうだ。
だけどね。
私は昨夜死んだって良かったんだよ。
今日、こんな虚無に襲われるってわかってたら。
2人に愛されているという勘違いをしたまま、死んでしまいたかった。
だって、たった一瞬だったけど、本当に幸せだったんだもの。
ああ、腹が立つ。
あなたはやっぱり私を、マルタイとしか見ていなかったんだ。
かわいくて、素敵で、ちょっと抱いてみたい、マルタイ。
どんなにほめてくれたって、結局はマルタイじゃん。
「そんなの、あなたの勝手じゃない……」
「麻耶さん……」
「自分が許せないからSPを辞める?
バカじゃないの?
途中で任務を放り出す方が、よっぽどSP失格でしょ。
私がロマンチックバカなら、あなたは使命感バカです」
私が話すたび、亮司さんの眉が寄って、深いシワができていく。
怒ればいいよ。
私の方が、怒ってるんだから。
「あなたが私のことをマルタイ以上に見られないのは、わかりました。
でも、それなら余計にあなたは、辞めるべきじゃない」
「それは、どういう意味ですか?」
「マルタイにしか見られないなら、最後までマルタイとして接するべきです。
警察官として……いいえ、男として、責任を取ると言うのなら」
「…………」
亮司さんは黙って、私の言葉を待つ。
私は涙が出そうなのを必死で抑え、息を深く吸う。
そして、彼に向かって一気に吐き出した。
「……最後まで、私を守って!」