イケメンSPに守られることになったんですが。
それだけ言うと、私は部屋を飛び出す。
「麻耶……っ」
背後から亮司さんの声が聞こえたけど、振り返らずに玄関を出て、駐車場で待っている新城さんの元へ向かう。
その途中のエレベーターの中で、ずっとこらえていた涙が、溢れ出す。
亮司さん……。
やっぱり、好きです。
本当は……。
抱きしめてくれることを期待してた。
『慌ててしまっただけで、本当は俺もあなたが好きなんです』
私が書くなら、そんなセリフをつけて、思いっきりキスするんだけどな。
……本当に、ロマンチックバカだね。
あなたが警察をやめると言った時点で、そんな可能性はほぼゼロだって……わかってたのに。
……辞めないで。
あなたは、最高のSPだよ。
私が勝手に、好きになっただけだから。
こんなことで、つぶれないで。
これからも、もっとたくさんの人の命を守っていって。
そしていつか、あなたとリョウさんが一緒に、心から愛せる人に出会えますように。
今は想像するだけで苦しいけど、もう少ししたらもっと上手に祈れるようになると思うから。
事件解決まで、やたらと泣かないようにするから。
今だけ……。
あなたを想って泣くことを、許してね。