イケメンSPに守られることになったんですが。
『だから、いい加減認めろって』
リョウが呆れた声を出す。
わかってる。
いや、この状況になって初めて、自分で自分の気持ちを認めざるを得なくなったんじゃないか。
お前は俺の影であり、その存在は俺が抑圧してきた怒り、悲しみ、欲望……そして、寂しさと愛しさ。
つまり、お前が我慢できなくなってしまったのは、俺が我慢しすぎたせいだ。
俺は……。
彼女が……中園麻耶が……。
好き、なんだろう。
だけど、こんなふうにするつもりなんかなかった。
大事にしてやりたかった。
事件が解決するまで。
事件が解決したら、彼女は普通の社会へ戻る。
そこで普通の男と出会って、普通に結婚して……それが一番幸せなはずだから。
SPなんて、休みがロクにない職業で、誰かの盾になっていつ死んでしまうともわからない身で……。
しかも自分の心さえ制御できなくて、そのために頭の中には、もう一人別の男がいるときてる。
そのせいで過去ひとりの女性の人生にとんでもない遠回りをさせてしまった。
そんな俺が運良く彼女を手に入れたとして、幸せになどできるわけがない。