イケメンSPに守られることになったんですが。
12・無茶な作戦だと思うんですが。
──警護9日目。
テロリストが指定した期限まであと3日。
警視庁警備部警護課・特殊班ルームには、これまでにないくらい重たい雰囲気が漂っていた。
……私とW高浜さんのせいだけどね。
結局あのあと亮司さんからは何の連絡もなかったらしく、班長さんは半泣きでシフト表を作り直していた。
臨時で私の担当SPとなった新城さんが、腕時計を見てため息をつく。
もうすぐ午前10時。約束の時間だ。
篠田さんとSPの作戦会議が、もうすぐ開かれる。
連絡があったのは昨夜遅く。
新しい宿泊場所のホテルでのことだった。
SPの自宅より危険は多いだろうけど、こうなってしまった以上、他に選択肢はなかった。
班長さんは結婚していて、自分の家に来てもいいと言ってくれたけど、奥さんからしてみればいくらマルタイでもいきなり知らない人が泊まりにくるのは迷惑に違いない。
私はホテルで、ノーメイクにノーブラで、何も書けるわけないのに備え付けのメモ帳を開いてぼーっとしていた。
頭に浮かぶのは、今までW高浜さんと過ごした日々ばかり。
亮司さんの寂しさを隠した優しい笑顔。
リョウさんの野性味を帯びたトラの目。
鍛え上げられた肉体の全身に刻まれた、新旧入り乱れる傷の数々。
気づけばまたぽろぽろと涙が溢れていて、新城さんは何も言わずにティッシュと薬と水を手渡してくる。