イケメンSPに守られることになったんですが。
篠田さんはSPルームにあったホワイトボードに、持ってきた書類をマグネットで留めだす。
「こいつらは、あのスーパーで捕まった容疑者。
そしてこちらが、峰岸和也。
地下鉄爆破事件を目撃した中園麻耶を利用し、今回の計画を立てた本人だ」
ホワイトボードには至極普通の日本人の青年たちの写真が並んでいた。
一番右側にいるのは、よく知っている顔。
元彼の和也だ。
「新城、矢作、その際はご苦労」
篠田さんは二人に言った。
なんのことかと思っていたら、大西さんが
「新城さんは遺留品とテロリストの記憶の確認、矢作さんは彼らの取調べに立ち会って、ウソ発見器みたいな役割をしたんだ」
と小さな声で教えてくれた。
「というわけで、敵の組織の概要は大体わかった。
彼らは『潮騒の会』という政治団体だった」
「『潮騒の会』?」
聞いたこともないな、と班長さんが首をかしげる。
「それって、どういう……」
「典型的なライトウイングの団体だな」
ライトウイング……ああ……。
日の丸がついた大きな街宣車で、国会議事堂の前で叫んでいる、ああいう人たちね……。
その思想について深く理解しているわけじゃないから頭ごなしに否定はできないけど、手放しで歓迎できる人たちでもない。
そう言われてみればたしかに、和也は洋画や海外ドラマが大嫌いだった。
その代わり、隣の独裁国家についてのニュースは目をキラキラさせて見てた。