イケメンSPに守られることになったんですが。
しかも『潮騒の会』って……。
和也と出会った図書館で私が借りようとしていた、あの作家の代表作のタイトルからとったのかな。
なんて安直な……。
「彼らはつい最近できた団体らしい。
『潮騒の会』の連中は、この男の解放を狙って、今回の計画を立てた」
──パチン。
テロリストたちの上部に、一人の中年男性の写真がマグネットで留められた。
眉毛が太くて一重まぶたの、あまり特徴のない男だ。
しかし目の下にある真っ青なクマがなんとも言えない不気味さをかもし出している。
「代表者の、奥村敦という人物だ。
こいつはあの地下鉄爆破事件の何日か前に、とある大使館に火炎瓶を投げ込んだとして逮捕されている。
そうしたら余罪が出てくるわ出てくるわ。
結局殺人が何件か、強盗や放火もあって、無期懲役確定だと言われている」
火炎瓶……まだそんなものを使う人がいたんだ。
「どうしてわかったんですか?
あの人たち、しゃべったんですか?」
「いや、しゃべらなかった。やつらは口が堅い。
だから新城に記憶をのぞかせたり、やつらに囚人の写真を何枚か見せたあとの反応を、矢作に監視させた」
篠田さんは淡々と言うけど……。
「それって、すごくないですか!?
そんなことができたら、大体の事件が解決出来ちゃうじゃないですか!」
「アホ。できねーよ」
「なんでっ?」