イケメンSPに守られることになったんですが。


興奮した私に、矢作さんが呆れた顔で説明する。


「俺らはSP。

普段は要人警護にかかりきりだし、こんなふうに公安の捜査に呼ばれることもまずない」


「やつらはプライドが高いから、警護課に頼むなんてできないんだ」



最後の台詞は、大西さんが篠田さんに聞こえないようにそっと耳打ちした。


矢作さんはそれが聞こえているのかいないのか、相変わらず無気力な顔で話を続ける。



「それに……『超能力で記憶を見たら犯人がわかりました』『心の中でこんなことを考えています』って言って、世間の誰が信用する?

俺らの能力は裁判での証拠能力はゼロ。

結局公安が裏づけ捜査して始めて証拠になるんだ」



そ、そっか。言われて見れば確かに……。



「普段起こる事件は、推理小説のように入り組んだりしていない。

捜査課や公安でじゅうぶん、俺たちが出て行ったら返って二度手間になっちまう。

こんな能力、警察の人間も信じねーしな」



新城さんが面白くなさそうに口をとがらせる。



「上が警備部に特殊班を作ったのも、変なSPの掃き溜めを作っとけ、みたいな感じでしたもんね」



大西さんが遠い目をして言う。


そっか……。


意外と便利と思いきや、そうでもないんだ……。


特殊班のみんな、結構苦労してるんだな……。


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