イケメンSPに守られることになったんですが。
お金がない。
手に職もない。
パート先もなくなる。
彼氏もない。片思いの相手すら、ない。
友達はリア充ばかりで、相手にしてくれない。
ない、ない、ない、ない。
あるのはぽっかり空いてしまった時間と。
私には、これだけ……。
ポケットからスマホを取り出す。
テンキー付きの機種にしたのは、文字を打ちやすくするため。
でもこれなら、折りたたみケータイでも良かった。
まだ変えたばかりで、来月からの機種分割代金がイタイ。
とにかく。
私はブラウザボタンを押した。
すると画面に、『小説サイト Cherry's Cafe』というトップページが現れた。
夜道のせいか、スマホの光が目に痛い。
それでも私はかさかさになった人差し指で、『作家メニュー』を開いた。