イケメンSPに守られることになったんですが。
「それはさておき」
ごほん、と篠田さんの咳払いで、再びみんながホワイトボードに集中する。
「最初に触れた、我々公安が立てた作戦だが」
そう前置きがあって、特殊班に緊張が走る。
いったいどんな作戦なんだろう?
ドキドキしていると、篠田さんは、私の方を見て、口を開こうとした。
そのとき……。
──バン!
もう誰も来ないはずのSPルームのドアが開いた。
私と特殊班は絶句する。
ドアを開けて現れたのは……。
「よう篠田。担当SPが来ない間に、勝手に始めるなよ」
背が高くて、声が低くて。
切れ長の目に、高い鼻。
ちょっとダサいスーツを着た、残念なイケメン。
いつもと違うのは、前髪が後ろに流されていないこと……。
「リョウ、さん……?」
他のSPも驚いた顔をしている。
彼は……野生のトラの目をしているのは……。
間違いなく、リョウさんだった。
ど、どうして?
危険もないし、銃も持ってないのに、なぜリョウさんが?
「……話はあとでな、麻耶」
私の疑問のまなざしを感じたのか、リョウさんは短く言うと、ほこりだらけのソファに座っていた私の隣に、大西さんをどけてムリヤリ座った。