イケメンSPに守られることになったんですが。


「……うっ……!」


「泣くな大西!

お前、婦警さんの間では人気あるぞ?」



「そうだ、アイドル系だからな!

今年のバレンタインもきっとお前がチョコ獲得数1位だぞ!」



新城さんと矢作さんが、涙をこらえて唇をかむ大西さんによくわからない励ましを……。


そんな彼らの仲間を思う心はこの男には通じない。



「あくまで今回のお前の役割は警護じゃない。

敵をおびき出すための『おとりその2』だ」



篠田さん……だんだんあなたが鬼に見えてきました。


『おとりその2』って、学芸会の脇役じゃないんだから。


大西さんだって、SPとしてがんばってるのに……。



「もちろんテロリストが現れたら、お前は中園麻耶の警護を最優先してくれ。

そして特殊班全員と、俺が用意する私服警官たちで敵を逮捕する」



ええ~……なんという絵に描いたモチ。


違うか、青写真。それも違う……ううん、とにかく。


そんなにアッサリ、うまくいくかなあ?


同じ事を全員思ったのか、SPたちから「うーん」とうなり声が出た。



「それ、下手したら一般人も巻き込んじゃいますよ。

あいつら、銃を所持してる可能性があるし」



新城さんが言う。



「無差別テロよりはいいだろう。

それに私服警官が、市民を避難させる」


「それだと、テロリストたちに向かう人員が少なくなるんじゃ?」



矢作さんの質問も、篠田さんにとっては想定内みたい。


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