イケメンSPに守られることになったんですが。
「中園麻耶、お前の協力が必要だ。
国家の安全を守るためなんだ。
頼む……」
そう言うと、篠田さんは私をまっすぐに見つめる。
『頼む』なんて篠田さんが言うなんて……やっぱり、本気なんだ。
……どうしよう……。
わざわざテロ集団の前に姿をさらすなんて、危険極まりない。
確実に怪我するだろうし、下手すりゃ死ぬ。
怖い……。
相手に警察が包囲してると気づかれずにうまくひきつけられる自信もない。
でも……。
早く彼らを制圧しなければ、都内のあっちこっちで無差別テロが起きる。
そうしたら、今度こそ犠牲者が出てしまうかもしれない……。
それでもなかなか返事ができない私。
その横から、地獄の閻魔様みたいな声が低く響いた。
「なんで無能な公安の尻拭いを、こいつにさせなきゃなんねえんだよ……」
そちらを見ると、立ち上がっていたリョウさんが、こぶしを握り締めていた。
「…………」
無能と言われても、篠田さんは黙ったまま。
そう言われても仕方がないと思っているんだろうか。
「国家の安全のためなら、こいつを危険にさらしても良いって言うのか。
それなら俺たちSPは何のためにいるんだよ」
「今回は、状況が状況で……」
「そんなの、知るか!」