イケメンSPに守られることになったんですが。
──ドガァッ!
リョウさんが近くにあったデスクを蹴った。
重いデスクは吹き飛びこそしなかったが、リョウさんの靴の形に、無残にへこんだ。
私を含め、その場にいる全員が一瞬言葉を失う。
「リョウさん……!」
「俺は認めない。
絶対、こいつをそんな危ない目に遭わせたりしない。
公安がムリにでも引っ張っていくと言うのなら、俺は武力行使してでも、それを阻止する!」
「高浜、落ち着け!」
篠田さんに向かって牙をむき出しにするリュウさんを、班長さんが諌める。
「……中園麻耶。
お前は、どうしたい?」
「……篠田さん……」
「このまま、無差別テロが起きればいいと思うか。
何も知らない善良な市民が、何百人巻き込まれても、お前は平気な顔をして、これからも生きていけるか?」
篠田さんは相変わらず、私をまっすぐに見つめて言う。
「そんな脅迫みたいな質問をするな!
こいつのお人よしな性格を利用しようとするなんて、お前は心底腐ってるぜ!」
リョウさんが私の代わりに答える。
すると、篠田さんの眉間にシワがより……。
──バァン!!
背後にあったホワイトボードに、こぶしをたたきつけた。