イケメンSPに守られることになったんですが。


「そんなあなたの言うことを素直に聞けるほど、私は大人じゃありません」



リョウさんの胸を押して、その場から逃れようとする。


だけど、私より何十倍も力が強い彼に敵うはずもなく……。



「ちょっと待てよ。
それについては色々誤解があってだな……」



壁に私を押し付けたまま、困った顔をするリョウさん。


もういいよ。


言い訳なんかあなたらしくない。



「亮司さんに……最後まで、守ってって言ったのに……」


「麻耶……」


「今日だって、リョウさんに全部押し付けて、逃げてるんでしょう?」



がんばって、怖い顔を作って、わざとにらみつける。


そうじゃないと、すぐに泣いてしまいそうだったから。


リョウさんは、困ったような顔から悲しそうな顔に変わっていく。


やめて……それじゃ、亮司さんみたい……。



「私を止めたければ、あなたの相棒に言っておいてよ。

卑怯に逃げ回っていないで、私を守ってって」


「…………」


「……一回り近くも下の女に言われて悔しかったら、出てきなさいよ。

そうじゃなきゃ……私は、あなたたちの言うことなんか聞かない!」


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