イケメンSPに守られることになったんですが。
──ズルッ!
私はひざからしゃがみこみ、油断したリュウさんの腕の下をくぐって、その柵から逃げ出した。
「待て……っ、麻耶!」
私はロックを解除し、リョウさんの制止を聞かず、警視庁内を全力で走って逃げた。
ごめんね。
あなたたちの優しさを利用しているのは、私の方だ。
でも、もう……。
これで事件が解決したら、全部終わるから。
私とあなたたちは赤の他人。
こんな小娘のこと、すぐに忘れていいから……。
どうか……戻ってきて、亮司さん。
リョウさん、亮司さんをこれからも助けてあげてね。
……無我夢中で走っていたら、私はやっぱり迷子になった。
ぐずぐず泣いていたら、婦警さんがSPルームまで送ってくれた。
そこには、余裕で私より先に戻れるはずのリョウさんの姿は……なかった。