イケメンSPに守られることになったんですが。


**


リョウの中から一部始終を見ていた俺は、言葉を失う。


彼女は、いつの間にあんなに強くなってしまったんだ。


最後の台詞が胸に刺さる。


まったくその通りだ。


俺はただの臆病者。


俺が彼女を……あんなふうにさせてしまったのか。



『おい亮司……テメエのせいだからな』



リョウが会議室のイスに座ったまま、心の中で話しかけてくる。



『どうすんだよ』



……どうするも、こうするも……。


隠れてぼんやりしているわけにはいかない。


彼女がそう決めたなら、俺は公安の計画通りの仕事をするしかないだろう。


影から彼女の命を守る。


それしか……。



『違うだろうが!アホか!』



リョウが苛立った声で俺の思考をさえぎる。



『麻耶はな、お前に……止めてほしいんだよ』



……まさか……。



『俺だけじゃダメなんだ。
お前が素直にならないから、あいつも素直になれない』



そんなことはない。


麻耶は本気で、他人のためにおとりになろうとしてる。


今更俺が出て行って止めたって、頑固な彼女は聞いてくれないだろう。



『チッ……頑固なのは認めるが……お前は人のこ言えねえだろ』



……そうだな、それはその通りだ。


< 316 / 438 >

この作品をシェア

pagetop