イケメンSPに守られることになったんですが。
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リョウの中から一部始終を見ていた俺は、言葉を失う。
彼女は、いつの間にあんなに強くなってしまったんだ。
最後の台詞が胸に刺さる。
まったくその通りだ。
俺はただの臆病者。
俺が彼女を……あんなふうにさせてしまったのか。
『おい亮司……テメエのせいだからな』
リョウが会議室のイスに座ったまま、心の中で話しかけてくる。
『どうすんだよ』
……どうするも、こうするも……。
隠れてぼんやりしているわけにはいかない。
彼女がそう決めたなら、俺は公安の計画通りの仕事をするしかないだろう。
影から彼女の命を守る。
それしか……。
『違うだろうが!アホか!』
リョウが苛立った声で俺の思考をさえぎる。
『麻耶はな、お前に……止めてほしいんだよ』
……まさか……。
『俺だけじゃダメなんだ。
お前が素直にならないから、あいつも素直になれない』
そんなことはない。
麻耶は本気で、他人のためにおとりになろうとしてる。
今更俺が出て行って止めたって、頑固な彼女は聞いてくれないだろう。
『チッ……頑固なのは認めるが……お前は人のこ言えねえだろ』
……そうだな、それはその通りだ。