イケメンSPに守られることになったんですが。


「どうして……」



これが、ここに……?


言葉を失う私に、新城さんが笑って言う。



「さて、なんでだろうな」


「リョウさんが……昨日送った新城さんのメールを見て、持って来てたのに出すタイミングを失ってた、とか?」


「9割正解だな」



え~、9割なの?


あと1割はなに?


そのほんのちょっと惜しいのって、すごく気になるんですけど。



「明日お前が生き残ったらわかるよ」



新城さんは、私の頭をぽんぽんとなでる。


その優しい仕草に、思わず亮司さんを思い出した。



「だから、何が何でも生きて帰れよ。

ま、俺たちがついてるから大丈夫だと思うけどな」



新城さんの言葉に、私はこくりとうなずいた。


ホテルに帰ってきてから、ずっと考えてた。


事件が解決したとき、自分が無事に生き残っていたら……。


あんな風にひどいことを言ってしまったW高浜さんに、謝らなきゃと。


まだ、ちゃんと『ありがとう』を言ってないから。


お酒に酔って、泣きながらじゃなくて。


しらふで、ちゃんと笑って。


『ありがとう』を言って、お別れしなきゃ……。


後悔、しないように。





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