イケメンSPに守られることになったんですが。


「うぉ~、さみ~……大丈夫?麻耶ちゃん」


「寒いとかそれ以前に、緊張で足が震えますよ……」



私と大西さんが歩いているのは、北風吹き荒れる街中。


そこを、ウインドーショッピングをしている体で、昼間からうろうろと歩き回っていた。


今日は平日。


休日は人がゴミのように溢れる、ファッションビルやブランドショップが並ぶこの通りは、今日もたくさんの人がいた。


休日ほどじゃないけれど、それでも多い。


夕方になると会社帰りの社会人や学校帰りの学生でもっと多くなるだろうということで、昼間の中途半端な時間を篠田さんが設定した。


じゃあもっと人が少ないところに行きましょうよと言うと、それだと私服警官が目立ってしまって、テロリストが現れないかもしれないと返された。


このあたりで一番大きなファッションビルを中心とした半径1キロ以内に、私服警察官と特殊班が散らばっている。


少し離れたヘリポートがあるビルの上には、警官隊の乗ったヘリコプター。


そしてまた別のビルにはSATのヘリ。


そこへ敵をおびき寄せるように、私は昨夜受け取ったスマホで、『Cherry's cafe』にログインし、ファンメールを送った。


ファンメールとは、自分を好きな作家としてファン登録してくれたユーザーさんだけに送るメールのこと。


こちらはファン登録してくれたユーザーさんの名前が、全部わかるわけじゃない。


各ユーザーは、会員登録してログインさえすれば、どの作家にファン登録しようと勝手なのだ。


たとえ、その人の作品を一文字も読んでいなくても。










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