イケメンSPに守られることになったんですが。


ごうごうと、外で強い風が吹き荒れる音がここまで聞こえてくる。


同じくらいにうるさく、私の心臓はどくどくと音を立てていた。


緊張で、こんなに寒いのにじっとりと汗ばむ。


でも……もう、後戻りはできない。



「着いたよ。今ドアの前」



電話でそう告げると、



『鍵は開いているから、ゆっくり開けろ』



と、指示をされた。


私がドアノブに手をかけると、大西さんに制される。


彼はふんふんと鼻を鳴らして、「おかしい。ひとりのにおいしかしない……」と首をかしげる。


そしてこう続けた。



「俺が先に行くよ。

麻耶ちゃんは……もし危険だと思ったら、すぐに逃げて。

たとえ俺が、敵の攻撃に倒れても。

気にしなくていいから、とにかく逃げて」



大西さんの可愛い顔が、真剣に私に言った。



「そんな……」


「いいから。それがSPって仕事だから。

麻耶ちゃんが捕まっちゃったら、余計警察が不利になる。

俺たちを助けると思って。頼むよ」



そんなことできない。


そう言おうとした瞬間、ドアの中から声がした。



「早くしろ!」



いる……和也だ。


大西さんと私は、顔を見合わせる。


そして大西さんが、ゆっくりとそのドアを開いた。



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