イケメンSPに守られることになったんですが。
がらんとした薄汚れた部屋の中に、男がひとり。
タレ目の、だらしなさそうな顔。
それは間違いなく、女装していない和也だった。
「SP、銃を捨てろ」
部屋に入るやいなや、和也は私たちに自分の持っていたピストルの銃口を向ける。
大西さんはゆっくりと、自分の銃をホルダーから外し、足元に置いた。
「本当に来るとはな……」
「だって、行ったら命を助けてくれるんでしょ?」
時間稼ぎのために、何でもいいから話そうとする。
早く誰か、応援に来て……。
背中に冷や汗が何本も伝っていくのを感じながら、和也の顔を見つめると……。
彼は、薄く笑った。
「俺はそうしてやりたいんだけどな。
お前は宿や体や食事を提供してくれた。
感謝してるんだぜ、これでも」
「……最低だな」
「黙れ、SP」
大西さんは黙るけど、和也をにらむ。
どうにかしてピストルを捨てさせなければと、機会をうかがっているようにも見えた。
「でもな、代表がなんて言うかわからねえんだよ」
「代表……」
私は篠田さんに見せられた青クマの中年をぼんやり思い出した。