イケメンSPに守られることになったんですが。


──パアン!


突然銃声がしたかと思うと、大西さんが床に転がる。



「大西さん!」



思わず駆け寄りそうになるが……。



「近くに来ないで!」



銃弾を避けた大西さんは、和也の方へ向かって走る。


狭い室内で、ふたりはすぐにもみあいになった。


怖いと思う間もなく、大西さんは意外に強い力でぎりりと和也の腕を後ろにひねり、ピストルを落とさせた。



「弱い弱いって何回も言うな!!」



……それ、最初に言ったの篠田さんで、和也は一回しか言ってませんけど……。


そんなことはいいや!


大西さんのいつもの笑顔と真剣な表情のギャップに萌えている場合でもない!


私はスマホを取り出し、応援を呼ぼうとした。




「バカッ、何してんの!

早く逃げて……っ!」



大西さんがこちらを見た瞬間、和也がもう片方の手で、ポケットからナイフを取り出した。



「危ないっ、大西さん!」


「……っ!」



──ビュッ!


横に凪がれたナイフが、空を切る。


大西さんは紙一重でそれを避ける。



「あっぶね……!」



和也は大西さんを深追いせず、さっき落としたピストルを拾う。


そして、私に突きつけた。



「動くな!」



そう言われて、和也の横にいた大西さんの動きが止まった。


< 336 / 438 >

この作品をシェア

pagetop