イケメンSPに守られることになったんですが。
「麻耶、スマホを渡せ」
「…………」
「早く!」
大声で怒鳴られて、びくりと肩が震えた。
私はおそるおそる、和也にスマホを差し出す。
すると和也はそれを床に放り投げ……。
──バン!
なんのためらいもなく、ピストルで撃った。
「ああっ!」
私のスマホ……!
まだ機種変してから何ヶ月も経ってなくて、機種代を分割で払っている途中なのに……!
ベビーピンクのスマホは無残に打ち抜かれて、画面はバリバリで中の基盤が見え、テンキーは砕けてそこらに数字が散らばっている。
「なにするのよ!」
「うるせえ!」
和也が叫び、すきができたところに大西さんが飛び込む。
ピストルを持っている方の手に抱きつくと、もう一方の手がナイフを持って大西さんを狙う。
「ワンパターンかっ!」
大西さんはそれを視界の端でとらえていたようで、自らも片手を離し、その手首をこぶしで殴り、ナイフを離させる。
そして残るピストルを奪い合い、もみ合いになった。
くっそぅ……私のスマホ……。
パスワードを覚えているから、『Cherry's Cafe』の利用は問題ないけど……。
編集さんの番号とか、イラストレーターさんが書いてくれた表紙のサンプルのデータがおじゃんだよ!どうしてくれる!!