イケメンSPに守られることになったんですが。
急いで荷台から逃げようとしたけど、遅かった。
和也に腕をつかまれたまま、トラックは無情にもエンジンをかけ、発進してしまう。
「いやっ、離して……!」
公安は何をしてるの?
警官隊は?
敵は、ここにいるのに……!
トラックがふっと動き出したとたん、耳に風の音に混じって雑音が聞こえた。
──ガサガサガサガサッ!!
なんだろうと思っているうちに、トラックは発進し、音の出所が荷台の後ろへ流れていく。
そこには……。
「ウソ……!」
3階からジャンプし、街路樹につかまりながら地上に降りてきたらしいリョウさんがいた。
当然足への衝撃は、骨折してもおかしくないほどだろう。
リョウさんは少しうずくまっていたけど、やがて、顔を上げて立ち上がった。
無茶だよ……!
荷台にかぶせられた隙間からなんとか見えたリョウさんは……車道に飛び出し、こちらに向かって駆け出す。
「麻耶っ!!」
彼が片手で銃をかまえ、やっと周囲の人たちも異常事態に気づいた。
警官隊と見られる人たちも追ってくる。
そこかしこで、パトカーのサイレンも鳴りだした。