イケメンSPに守られることになったんですが。


「やっぱり公安の罠だったか。危なかったな」



和也ではないテロリストの一人が言う。



「飛ばせ」



和也が助手席に向かって言うと、トラックは突然速度を増した。


この通りは路上駐車が多い。


ずらりと並んだ隣の斜線に路駐している車と、混んでいる道を普通に走っている車の真ん中を、トラックは走っているようで……。


耳に、ガリガリと他の車体を傷つける不快な音が響く。


当然、パトカーもなかなか追ってこられないし、この強風だ。ヘリはまだ出動できていないのかもしれない。


追いかけてきた警官隊もあきらめてしまったのか、ぱらぱらとその数が減っていく。


そんななか、ただひとり……。



「麻耶ぁぁぁぁぁぁっ!!」



地獄の底から響くような低音で私の名を叫び……。


人間離れした速さで車道を駆け抜け、車に何度もひかれそうになって……。


やがて、路駐している車のボンネットに飛び乗り、その車の波の上を、ガコンガコンと派手な音を立ててジャンプし、走り、私を追いかけてくる人がいた。


それはもちろん……。



「麻耶ぁぁぁぁぁぁっ!!!!

こっの……クソテロ集団がぁぁぁぁっ!!!!」



リョウさん、だった。



< 344 / 438 >

この作品をシェア

pagetop