イケメンSPに守られることになったんですが。
「やっぱり公安の罠だったか。危なかったな」
和也ではないテロリストの一人が言う。
「飛ばせ」
和也が助手席に向かって言うと、トラックは突然速度を増した。
この通りは路上駐車が多い。
ずらりと並んだ隣の斜線に路駐している車と、混んでいる道を普通に走っている車の真ん中を、トラックは走っているようで……。
耳に、ガリガリと他の車体を傷つける不快な音が響く。
当然、パトカーもなかなか追ってこられないし、この強風だ。ヘリはまだ出動できていないのかもしれない。
追いかけてきた警官隊もあきらめてしまったのか、ぱらぱらとその数が減っていく。
そんななか、ただひとり……。
「麻耶ぁぁぁぁぁぁっ!!」
地獄の底から響くような低音で私の名を叫び……。
人間離れした速さで車道を駆け抜け、車に何度もひかれそうになって……。
やがて、路駐している車のボンネットに飛び乗り、その車の波の上を、ガコンガコンと派手な音を立ててジャンプし、走り、私を追いかけてくる人がいた。
それはもちろん……。
「麻耶ぁぁぁぁぁぁっ!!!!
こっの……クソテロ集団がぁぁぁぁっ!!!!」
リョウさん、だった。