イケメンSPに守られることになったんですが。
「リョウさん……!」
心臓が止まりそうなぐらい、バクバクと音を立てる。
もうやめて。
来なくていいよ。
このままだと、絶対怪我しちゃうから……!
「止まれえぇぇぇぇぇっ!!」
リョウさんはダン、と車の波から降り、交差点に差し掛かったトラックに向かって、走りながら発砲する。
その腕は下を向いていて、タイヤを狙っているようだけど……。
──バンッ、バンッ、バンッ……。
8発の銃声が聞こえ、半分は荷台の下部に跳ね返される。
ギィン、ガチィッと音が荷台の上に響いた。
そしてあと半分は、タイヤをかすめたらしく、トラックは衝撃を受けて揺れるも、止まることはなかった。
立ち止まれば、たちまち有効射程距離から外れてしまう。
だから走りながら撃つけど、それだと焦点が定まらない。
リョウさんの腕でも限界があるんだ……。
「なんだあの警察」
「あれ、前のSPだろ。目障りだな……」
他のテロリストにそう答えた和也は……。
「速度を落とせ」
助手席にそう言うと、50メートルくらいあったリョウさんとトラックの距離が10メートルくらいに縮まる。
そして和也は、リョウさんに向かって、ピストルをかまえた。
「やめて……っ!!」
その腕に飛びつこうとしたけど、間に合わなかった。
──バンッ!!
和也の凶弾は、リョウさんを襲い……。
パアッと咲き乱れた赤い飛沫とともに、彼はアスファルトに沈められてしまった。