イケメンSPに守られることになったんですが。


「リョウさん……!」



心臓が止まりそうなぐらい、バクバクと音を立てる。


もうやめて。


来なくていいよ。


このままだと、絶対怪我しちゃうから……!



「止まれえぇぇぇぇぇっ!!」



リョウさんはダン、と車の波から降り、交差点に差し掛かったトラックに向かって、走りながら発砲する。


その腕は下を向いていて、タイヤを狙っているようだけど……。


──バンッ、バンッ、バンッ……。


8発の銃声が聞こえ、半分は荷台の下部に跳ね返される。


ギィン、ガチィッと音が荷台の上に響いた。


そしてあと半分は、タイヤをかすめたらしく、トラックは衝撃を受けて揺れるも、止まることはなかった。


立ち止まれば、たちまち有効射程距離から外れてしまう。


だから走りながら撃つけど、それだと焦点が定まらない。


リョウさんの腕でも限界があるんだ……。



「なんだあの警察」


「あれ、前のSPだろ。目障りだな……」



他のテロリストにそう答えた和也は……。



「速度を落とせ」



助手席にそう言うと、50メートルくらいあったリョウさんとトラックの距離が10メートルくらいに縮まる。


そして和也は、リョウさんに向かって、ピストルをかまえた。



「やめて……っ!!」



その腕に飛びつこうとしたけど、間に合わなかった。


──バンッ!!




和也の凶弾は、リョウさんを襲い……。



パアッと咲き乱れた赤い飛沫とともに、彼はアスファルトに沈められてしまった。



< 345 / 438 >

この作品をシェア

pagetop