イケメンSPに守られることになったんですが。


「亮司さん、うしろっ!」


「……っ!!」



──ブンッ!


とっさに身を翻した亮司さんに向かって振り下ろされたのは、鉄パイプ。


それは亮司さんに避けられ、床に当たってガアンと音を立てる。


鉄パイプを持っていたのは、ベージュの軍服を着た幹部だった。


腕に衝撃を受けたのか、なかなか次の攻撃に移れないみたい。


亮司さんが避けたあとにいた和也も、なんとかそれを避けて立ち上がっていた。


その目は血走っていて、もう正気を失っているように見える。


手負いの獣のように亮司さんをにらむその目に、恐怖を覚えた。


ううん、組織の崩壊を目の前にして、警察を憎まずにいられるほうが不自然なのかもしれない。




「早く……一緒に、逃げよう!」



私は亮司さんに駆け寄り、袖を引っ張る。



「ああ……」



亮司さんもこれ以上の戦闘は無用と思ったのか、私の言葉にうなずきかけた。


そのとき……。



「突入っ!!」



外からそんな声がしたと思うと、前方で味方同士でもみあっていたテロリストたちの近くの窓ガラスが、バリンと派手な音を立てて割れた。


それと同時に投げ込まれた物体が床に転がると、たちまち白い煙がそれから噴き出される。



「いけない……!」



視界はすぐに真っ白になる。


こ、このままじゃ本気でSATの突入に巻き込まれちゃうよぉぉ!


亮司さんは私の手を引いて、さっき自分が指示した窓へ向かって、走り出した。


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