イケメンSPに守られることになったんですが。
「はいはい、バカップルは最後についてきてくださいね。
俺たちが車まで案内しますから」
「チュッチュしてたら、容赦なく置いていきますからね」
あははと笑いながら、彼らは少し前を歩いていく。
私と亮司さんは顔を見合わせて笑い、手をつないだ。
「……帰ろうか」
「はい」
そして、私は裸足で山道を歩き出す。
すると……。
後ろの山荘から、ひとり分の足音が近づいてきたような気がした。
まさかと思って、後ろを振り返る。
そこには、ナイフを持って全力で走ってきた和也がいた。
「亮司さ……っ」
名前を呼び終わる前に、亮司さんが和也に気づき、私を前方に突き飛ばす。
「きゃあっ!」
いったい何が起こってるの?
いそいで後ろを振り返る。
そこで、私は見た。
和也が握っていたナイフの銀色の光が、亮司さんの体に吸い込まれていくのを……。