イケメンSPに守られることになったんですが。
……全てが、スローモーションに見えた。
亮司さんは、お腹を押さえたまま、ゆっくりと冷たい地面に倒れてしまった。
物音に気づいた後輩SPたちが、こちらへ走る。
そして、手を真っ赤に染めたまま立ち尽くしていた和也を取り押さえた。
「亮司さん……!
亮司さんっ、亮司さん!!」
彼の元に駆け寄って、何度も名前を呼ぶけど……。
閉じられたまぶたは開かず、口は何の音も発さない。
ただ彼の血液だけが、刺された腹部から溢れて地面を塗らした。
「…………!」
ブツリと、頭の中のどこかが切れる音が聞こえた気がした。
目の前が真っ暗になって、パソコンがシャットダウンしていくように、体から力が抜けていく。
ただ、目からは体中の水分を排出する勢いで、涙がこぼれ始めた。
「いや……っ。
いやぁぁぁっ、亮司さぁぁぁぁぁぁん!!」
そのまま私は……。
大きな声で彼の名を叫びながら、意識を手放した。