イケメンSPに守られることになったんですが。


困ったのは、マスコミの人たちだ。


今回の事件を知り、私の名前をテレビに出したいみたいだけど、全てお断りしている。 


顔も名前も出さないって言ってるのに、昔の同級生や実家に卒業アルバムを見せろとか言ってくる人もいたみたい。


さすがに見過ごせなかったのか、上京してから一度も連絡を取っていなかった里親から新しいスマホに電話がかかってきた。


『元気ならいいけど、もし困ったことがあったら言いなさいよ』


と言われて、むずがゆいような変な気分だった。


篠田さんはテロリストたちの取り調べで忙しく、なかなか顔を見られなかった。


あとになって「色々すまなかったな」とまたケーキをごちそうしてくれたから許しちゃうけどね。


篠田さんは特殊班のことを見直したみたい。


「黙っていろよ」と言って、本人たちにでなく何故か私に、彼等の評価を警察内で上げようとしていることを教えてくれた。


そんなこんなで、私は亮司さんのお見舞いになかなかいけず、無闇に時間だけが過ぎていった。


自宅に帰ることもできず、私は班長さん経由で預かった高浜家のカードキーを管理し、そこで寝泊まりしていた。


そしてやっと落ち着いたと思って数日経って……今日は、彼が退院する日。


快気祝いをするからお前も来いと、新城さんから電話が来たけど……。




「ごめんなさい……」




私はもう、彼らに会う気はなかった。



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