イケメンSPに守られることになったんですが。
助けてくれて、ありがとう。
守ってくれて、ありがとう。
温かい言葉を、ありがとう。
幸せなキスを、ありがとう。
あなたが言ってくれたことは、全部覚えてるよ。
これからも絶対に忘れない。
あなたは私に、大事なことをたくさん気づかせてくれた。
私たちは心に同じ傷を持っていたから、惹かれあったのかな。
それとも、同じ幸せを願う者どうしだったから?
本当に少しの間だったのに、何ヶ月も一緒にいたような気がする。
これからも、一緒にいたいよ。
本当は……。
でも。
でもね。
私はもっと、強くならなきゃ……。
そっと、彼の大きな手を解放する。
嗚咽をこらえられなくなって、私は急いで部屋から出た。
その瞬間。
──ドン。
誰かにぶつかって、驚いて顔を上げる。
そこには、目を丸くした班長さんがいた。
『麻耶ちゃん、もう……帰るの?』
班長さんはそう言いながら、スーツのポケットからそっとハンカチを差し出してくれた。
『はい……』
『そっか……あの姿、痛々しいもんな。
直視しろって言うほうが、酷だよね』
班長さんは苦笑した。