イケメンSPに守られることになったんですが。
下着とらくちんな服。
スマホの充電器とパソコン。これは必須。絶対持っていかなきゃ。
あと財布と、貴重品と……
「こんなもんです」
「終わり、ですか?」
高浜さんは、私の1泊用の小さなキャリーバッグを見て、意外そうに言った。
「はい」
「あ、そうですか……」
「何か問題でも?」
「いえ、今までも女性を自宅以外で警護することがありましたが、こんなに荷物の少ない方は初めてで」
「……ああ!」
女性だった、私。ちょっと忘れてた。
生理が来るかもしれないもんね、その用意をしていかなくちゃ。
買ってきてもらうのはSPの皆さんに申し訳ない。
私は適当なバッグを取り出し、高浜さんの目の前で洗面台の下の扉を開け、買い置きしてあった生理用品を詰め込んだ。
「終わりです!」
宣言すると、高浜さんはちょっとひきつった笑いで返してきた。
「……中園さん、差し出がましいようですが、化粧品の類はお持ちにならなくて大丈夫ですか。
あとで我々が適当に用意することもできますが、肌にあわないと文句を言われたこともありますので」