イケメンSPに守られることになったんですが。
『でもあいつ……ずっと、麻耶ちゃんを待っていたんだ。
だから、もう少し……せめて目が覚めるまで、いてやってくれないかな?』
『ごめ、なさ……私、下巻の、書き直し、やらなきゃ、なので』
切れ切れに下手な言い訳をすると、班長さんは寂しげに笑う。
『ああ、麻耶ちゃん作家さんだもんな……』
『…………』
『……でも高浜が心配で、しょうがないでしょう?』
はい。
思わずうなずいてしまいそうになって、すんでのところでこらえた。
だけど涙は、次から次へと流れて落ちる。
『……そんなんじゃ、SPのお嫁さんにはなれないよ?
高浜、これからもいっぱい怪我してくるから』
『…………』
『それを麻耶ちゃんが支えてあげなきゃ、ね?』
班長さんの言葉は、私の胸に容赦なく突き刺さった。
そんなの、ムリだよ……。
亮司さんが私を庇って刺されて、死んでしまったと思った瞬間。
私は本気で、壊れかけたんだもの。
目覚めてすぐ、亮司さんが無事と聞いたから良かったものの……。
もし、このままそばにいたら、私は彼をどんどん好きになっていくだろう。
それは確実だ。
亮司さんと一緒にいたいと願い、亮司さんの家族を自分が作ろうとするだろう。
たぶん、逆プロポーズとかして、泣いて叫んで困らせてでも、彼にうんと言わせると思う。