イケメンSPに守られることになったんですが。
【おまけSS】幸せの泉
かちゃ、と玄関のドアが開く音がした。
私はその途端、持っていたスマホを放り出し、リビングから飛んでいく。
そう、久しぶりに帰ってきた旦那様をお迎えするために……。
「お帰りなさい!」
「ただいま」
亮司さんはエプロンをしたままの私を、ぎゅっと抱きしめた。
ああ、幸せ……。
靴箱の上には、ふたりきりで挙げた結婚式の写真が、白地にガラスのビジューが埋め込まれたキラキラのフォトフレームに収まっている。
自分の顔が大嫌いで、部屋に写真を飾ろうだなんて思ったことのなかった私が、玄関にこんな恥ずかしいものを……すごい進歩だ。
正式にプロポーズされたのは、あの事件からもうすぐ1年が経とうというときだった。
よーく考えてみたら、10日しか一緒にいなかったのに劇的に恋に落ちて、いきなり結婚はヤバすぎる。
お互いのことをもっと知ったほうがいいよね。
そんなわけで私たちはすぐに一緒に暮らしはじめたものの、結婚に関しては慎重になっていた。
だけど、ありがたいことにふたりの気持ちが移り変わることはなく……。
無事、去年のクリスマスにプロポーズ。
クリスマスってところがお約束で、亮司さんらしい。
しかも彼は自分で指輪を選ぶセンスがないため、女子の憧れである『指輪の箱を開けてプロポーズ』というのができなかった。