イケメンSPに守られることになったんですが。
いいんです、そこは妄想で補うから。
下手に派手で高いもの買ってもらっても困るし。
何よりダブルジッパーとかセカンドバッグになんの疑いも持っていなかった人だしね!
とにかく反対するような親戚もいなくて、ことはとんとんと運び、4月の私の誕生日に入籍。
それからまだひと月しかたってない。
高浜麻耶だって、ぐふふ。
『ま』が続いていて言いにくいけど、いいんだいっ。
……うかれったっていいじゃない、人間だもの。
「ご飯用意しておくから、お風呂に入ってきたら?」
「うん、ありがとう」
1週間ぶりに帰ってきた亮司さんは、さすがに疲れた顔をしていた。
私の体をすっと離すと、奥の部屋へ向かう。
休みの間隔が短かったりして元気なときは、チュウしてくれるのになー……。
ううん、そんなことを不満に思っちゃダメだ。
無傷で帰ってきてくれただけで、ありがたいんだから。
私は気を取り直し、作った夕食を温めなおす。
だけどいつまでたっても、亮司さんがお風呂場へ向かう足音が聞こえてこない。