イケメンSPに守られることになったんですが。


「でもじゃあ、メイド服にしてくれたらよかったのにね?

ほら、ヘッドドレスまで入ってるのに、本体がないんだもん。

ケチだねえ、公務員のくせに」


ヘッドドレスをつけてみると、メガネの先にあたってしまって、ちょっと痛い。


「……あの、麻耶、それ、メイドのコスプレだと思ってるのか?」


亮司さんが顔を上げる。


「え?だってそうでしょ?

いまどき裸エプロンとか、そんなこと考えるの、ハゲたおっさんくらいでしょ」


「…………」


オタクだったから、コスプレは決して嫌いじゃない。
衣装さえあれば、着てもいい。


でもどうせなら、看護師さんとかがよかった。
個人的にナースキャップとか、すごく可愛いと思う。



それより亮司さんは、仕事中に私のコスプレ姿を想像しちゃってるの?


周りに婦警さんがたくさんいるから、うっかり、かな?


「……さ、今日のご飯何にしようかな。
亮司さん、何が食べたい?」


からかったら可哀想だと思って、普通に聞く。
せっかくだからつけてご飯作ろうかな、なんて思いながら。


すると。


「……かな」


「ん?お魚?」


「……俺ってそんなに、おっさんくさいかな……」


亮司さんは、ふらりと立ちあがった。


こちらを見る目は、捨てられた子犬みたい。


「え……?今そんな話、してなかったでしょ?」


「麻耶は俺のこと、ハゲたおっさんだと思ってるのか?」


「いや、ハゲてないですから」


「じゃあ、好きかな?」


「う……あ、はい」


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