イケメンSPに守られることになったんですが。
「だって、逃げる時早く走れるじゃないですか!!
ほふく前進も早いし、服はのびないし!!」
「……さっきみたいに、はっきり言ってくれた方が良いです」
どこの一般人がほふく前進なんかするか。
ええ、短距離は一番遅かったけど、長距離はまずまずの成績でしたよ。
友達に、「やっぱ揺れない方が長距離は楽だよね」って、毎年マラソン大会の時期になると言われたよ……!!
夏にTシャツ着ればキャラクターの顔がはっきり見えていいねって、言われるしね!!それから無地しか着れなくなったさ!!
「ミクロの探検隊とか、面白いこと言いますね、高浜さん」
「うわああ、ごめんなさい、ほんとに!
二度と言わないように、よく注意しておきますから!!」
「誰に?」
「だから、リョウに」
「意味がわかりません。」
私は高浜さんをにらむと、玄関に先に立った。
「ホテル行くんでしょ。早くしてくださいよ、セクハラSPさん」
「せく……っ……。
とにかく、荷物は俺が……」
「けっこうです!!」
ここ一階だし、コロコロしていくだけだしね!!
誰がお前の力なんか借りるもんか。
自分のことは自分でする!!
私はあわあわしながら横を歩く高浜さんと目をあわせないまま、車にキャリーバッグをつめこんだ。