イケメンSPに守られることになったんですが。
…………あれ。
気がつくと、私は横たわっていた。
背中がふかふかする。枕もふかふかで、首が痛い。
誰だ、私の低反発まくら盗んだやつ……
「…………?」
違う。
私は飛び起きた。
違う。ここ、私の部屋じゃない。あのぼろいけど愛着のあるアパートじゃない。
目の前に広がるのは、見たこともない広くて綺麗な部屋だった。
横を見るとベッドがもう一台。
広いテーブルに、高いイス。
床には清潔なカーペットが敷き詰められている。
白とブルーを基調にしたその部屋の片隅に、無駄に身長の高い男が立っていた。
今時オールバックの、イケメンなのに残念な人。
高浜さんの姿を認め、昨日のことは夢じゃなかったんだと思い知る。
「おはようございます」
高浜さんが遠慮がちに声をかけてくる。
「おはよう……ございます」
思わず返事をすると、高浜さんはフロントにつながるのであろう電話で、ルームサービスを注文した。
受話器を置くと、こちらを向いて優しく笑う。
でっかいクマのぬいぐるみみたい。
ぼんやりと、そう思った。