イケメンSPに守られることになったんですが。
「よほど疲れていらっしゃったんですね。
車の中で寝てしまわれて、一度も起きなかった」
「へっ」
言われて初めて気づく。
そうだ、ぶりぶり怒りながら車に乗って、エンジンかかった途端に睡魔に襲われたんだった。
……でも、一度も起きなかったって?
高浜さんは、私が眠っている間もずっと起きてたってこと?
「……大変ですね。高浜さんはいつ眠るんですか?」
「交代の時です」
「交代って……何時間もないんじゃ?」
「お気になさらず。
俺は、他のSPよりずっと楽をしてますから」
なにそれ、と言いかけて、目が痛いことに気づいた。
昨日落とさなかったままのマスカラが、上下のまつ毛をくっつけてしまって、まぶたを引っ張る。
「とりあえず、顔洗ってきます」
「はい。ついでにシャワーもどうぞ」
高浜さんに言われるがまま、キャリーバッグを開けて、メイク落としと着替えをつかみ、浴室へ移動した。
よく眠れたのか、体は意外に軽かった。