イケメンSPに守られることになったんですが。
「篠田、容疑者を逃がすとはどういうことだ」
いつもは温和な高浜さんが、厳しい顔で言う。
「俺が逃がしたわけじゃない。
現場にいた巡査がマヌケだったせいだ。
追跡はしている」
「わざと泳がしてるんじゃないだろうな」
「……まさか」
……今、一瞬間があったよね?
大丈夫だよね?公安の人が犯人を泳がせるためにわざと逃がしたってことはないよね!?
同じことを疑ったのか、SPチームの疑惑の目が篠田さんに集中した。
「それはともかく、10日以内に、という新しい脅迫状が来てしまった。
この間に中園さんが誘拐されたりしたら、たちまち警察と政府が不利になる。
高浜、お前が盾になれよ。その無駄にでかい図体でな」
「……言われなくても」
ふん、と不敵に笑った篠田さんと、彼を真っ直ぐににらむ高浜さん。
彼らの間に、ばちばちと火花が散った気がした。
「この二人、同年なんだけど、高浜さんは地方公務員の警視庁SP、警部補。
篠田さんは国家試験受かったキャリア組で、警察庁の警視。
現場での経験は高浜さんの方が上なのに、篠田はキャリアだってだけですでに警視……つまり高浜さんより位が高い。
お互いにお互いが嫌いで、すっごく仲悪いんだ」
と、大西さんが耳打ちしてくれた。