イケメンSPに守られることになったんですが。
私は、誘導されるまま歩き出した。
どうしよう。どこへ連れて行かれるんだろう。
いやその前に、どうして私がこんな目に?
私自身が今一番不幸なのだから、誰かに妬まれる覚えもない。
真面目にメガネを売っていただけで、恨まれる覚えもない。
しかし、黙ってついていかなきゃ、命の保証がない。
いや、ついていけば助かるのか?
それすらわからない。
周りは私たちのことを、本当にカップルだと思っているようだ。
人通りのほとんどない地下道に連れ込まれる。
恐怖で震える足を必死で叱咤し、10mほど歩いただろうか。
突然、隣の男が足を止めた。
「……?」
足元に集中していた視線を、上げる。
すると、私たちの前に、背の高い男の人が立っていた。
まるで、私たちの歩みを妨げようとしているように。
「麻耶先生、ですね?」
薄暗い地下道に、バリトンボイスが響く。
先生?
なんでそんな呼び方をされるかわからないけど、私は素直にうなずいた。