イケメンSPに守られることになったんですが。
「すみません、こんなことになってしまって」
ホテルをチェックアウトし、高浜さんの自宅に向かう車の中で、ぼそりと低い声が落ちた。
「いえ、こちらこそ……ご自宅なんて、迷惑ですよね。すみません」
「迷惑なんてことないです。
あなたは何も悪くないんだから、謝らないで下さい」
高浜さんの低くて優しい声が、すうっと胸に染み込んでいく。
うう、人の情けが身に染みる。
そういえば、さっきも抱きしめてくれたっけ。
高浜さんって、ほんとに優しいよね……
「お父さんがいたら、こんな感じだったのかな……」
「え?」
「いえ、何でもありません」
私は父親の顔も母親の顔も見たことが無い。
高浜さんみたいなお父さんがいたら、良かったのにな。
……でも本人に言ったら失礼だよね。お兄さんならまだしも。
「このまま自宅へ直行しますが、良いですね?」
赤信号で、高浜さんが急にこちらを見る。
ぼんやり横顔を見つめていた私の心臓が、ぴょこんと跳ねた。