イケメンSPに守られることになったんですが。
「あの……っ」
「黙って。伏せていてください」
「ふ、伏せ……」
今までの安全運転が嘘のようなスピードに、身体が引っ張られた。
窓の外の景色が線になって後に飛んでいく。
交差点にさしかかると、方向指示器を使うことなく、高浜さんはハンドルを一気に回した。
タイヤが地面にこすり付けられた高い悲鳴が、空間を裂く。
「……っ!!」
生じた強力な遠心力で、ドア側に自分の身体がはりけられる。
そうして初めて、車が右折したことがわかった。
「こちら高浜。緊急事態。車で接近されている。応援を頼む」
高浜さんは片手で運転しながら、冷静に仲間と連絡をとる。
「──了解。
撒きますので、後処理よろしく」
袖についている小型マイクに話し終わると、高浜さんはハンドルを握りなおした。
「中園さん、すみません。
敵に後からつけられているようなので、俺が引き離します。
ちょっと怖いかもしれませんので、頭を低くして。
伏せて、耳をふさいでいてください」
い…いや、ちょっと待って!!
声が低くて早口だったから、聞きとれなかったって事にして!!
……お願いだから、嘘だって言ってえええええ!!