イケメンSPに守られることになったんですが。


願い虚しく、車はスピードを落とさずに走り続ける。


早く、早く、どこでもいいから早く着いて……!



「……くそっ」



横から、低い声が聞こえた。


何か、さらに悪い事があったの?


でも、怖くて確認できない。


そう思っていたら……。


パン、と乾いた破裂音が、ふさいだ耳に届いた。



「────!!」



まさか……発砲された……!?



「頭を上げるな!!」



思わず体を動かしそうになった私に、高浜さんの厳しい声がぶちあたる。


慌てて伏せなおした視界の端で、高浜さんが拳銃を構えるのが見えた。


まさか────。


質問は許されなかった。



「……全員地獄行きにしてやる」



聞こえたのは、ブラック高浜──もとい、リョウさんの声で。


そのあとにピストルの発砲と、エンジン音が続いた。


それは追いついてきた敵の車から発せられるもののようだ。


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