イケメンSPに守られることになったんですが。
「俺の車に横付けするとは、いい度胸だ!!」
リョウさんはそう怒鳴ると、自分の顔の横の窓を開けた。
その途端、ぶわ、と冬の強風が車内を揺らす。
ごうごうと鳴る耳と手の間で、また銃声がした。
「当たるかっ!!」
リョウさんは片手で車を蛇行させ、敵が放った銃弾を避ける。
私は右へ左へ揺さぶられるばかりで、もう何がなんだかわからない。
「お返ししてやるぜ!!」
リョウさんはどこか楽しそうな声で言うと……
左手でハンドルを、左足でアクセルを踏んだまま、右半身を車の外へ投げ出す!
「……!!」
照準を合わせるのに時間はかからなかった。
リョウさんが身を乗り出してすぐ、二回連続で少し長く伸びた銃声が聞こえた。