イケメンSPに守られることになったんですが。
ぎゅるる、とタイヤがアスファルトを削り取る音。
他の車のクラクションや、誰かの悲鳴。
そして、多分応援にかけつけたのであろうパトカーのサイレン。
そんなものが、全部背後から聞こえてきた。
「ち……っ、後を傷つけられたか。
防弾ガラスだから高いんだよなー。また経理に文句言われるな……
ナンバーばれちまったし、あとで車を変えてもらうか。
なぁ……って、おい?」
「…………」
「おーい、中園ー。生きてるかー?」
がくがくと身体が震えたまま、動かない。
まさか、狙撃されるなんて……
流れ弾が一般人に当たったりしてたらどうしよう。
敵の車は、誰も轢かなかっただろうか。
私たちのせいで、事故にあった人たちは、いなかっただろうか。
「……あー、めんどくせ。
代わるぞ、亮司」
リョウさんの低い声がしたかと思うと、車はたちまち速度を下げた。
「めんどくさいって……中園さん、もう大丈夫ですよ。
申し訳ないですが、100均には寄らずに、このまま自宅へ直行します」
ぽんぽんと、ホワイト高浜──もとい、亮司さんの優しい声がして、大きな手が丸まった背中をさすってくれた。