イケメンSPに守られることになったんですが。


途端に、隣の男の身体が強張るのを感じた。


人のいない、ただの地下道で、二人の男の声だけが響く。



「その人をこちらに渡せ」



スーツの前のボタンを開けっ放しにしたバリトンボイスが言う。


彼はおそらく20代後半だろうか?


こんな状況でなければ見とれてしまうくらい、整った顔立ちをしていた。


切れ長の瞳に、高すぎるかと思うくらいの鼻。


しかし、今時オールバックの髪型ってどうなんだろう。


後に流しきれなかった前髪が、少し垂れているのがセクシーだけども。



「お前は何者だ」



一方隣の男は、怖くてまともに顔が見れない。


ちらっと視界に入った感じでは、黒ずくめにマスク、メガネと、完全に悪い人っぽい。


その悪い人に問われ、バリトンさんは、ゆっくり答えた。



「警視庁警備部警護課だ」


「……!」



警視庁?ってことは、このバリトンさんは警察官!?


やったー!!助かったー!!




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