イケメンSPに守られることになったんですが。
「……ちょっと見せてくださいね……」
その辺歩き回るくらいなら、怒られないよね。
私はぐるりと部屋の中を見渡す。
リビングの奥には、カウンターキッチン。
おお。もし亮司さんが結婚したら、ここから奥さんが「ご飯もう少しでできるわよん♪」とか言うんだなー。
「いいなあ、地方公務員の奥さん……」
私は亮司さんの未来の可愛い若奥さんの姿を想像しながら、カウンターに近づいた。
そこからひょこりとのぞくと、向こう側にシステムキッチンと、全く水垢のついていないシンクが見えた。
「使ってないんだ」
そうだよね、そんなに休みもないなら、自炊もする時間が惜しいよね。
心なしか、キッチンも冷蔵庫も食器棚も、寂しそうに見える。
たまには使ってくれよう。って、言ってるみたいだ。
「……ん?」
不意にあるものが視界に入り、違和感を感じた。
それは、男の一人暮らしにあるはずのないもの……
おそろいの、マグカップだった。
しかも、キャラクターもの。
可愛いカップ……だけど。これって……