イケメンSPに守られることになったんですが。


うう、照れられるとこっちもなんだか気まずい……


いい歳して、そんなんで照れないでほしいな。



「嫌ならやめます」


「嫌じゃないですよ」


「あ、そうですか……」



……男の人を名前で呼ぶのなんて、どれくらいぶりだろう。



「シャワー、使われます?」



そんなこと言われたのも、もういつの話だっけ。



「……中園さん?」


「っ!」



気づいたら、亮司さんが背をかがめて、私の顔をのぞきこんでいた。



「……すみません、ボーッとしてました……」


「……お疲れですもんね」



そうだろうな。


とっくに別れた男のことを思い出すなんて。


それで、すごく悲しくなるなんて。


疲れているからとしか思えない。



「亮司さん、お先にどうぞ」


「いや、俺は警護中なので」


「大丈夫です」


「でも、何かあったら」


「大声で、呼びますから」





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