イケメンSPに守られることになったんですが。


声にならない叫びは、どこにも届くはずもなく。


私は亮司さんのベッドにもぐりこんで、嗚咽を殺した。


だんだんと、頭がボーッとしてくる。


だけどへこむだけへこんで、泣くだけ泣くと、なんだかすっきりしてきた。


いつものパターンだ。


人間の脳は、うまくできてる。



「……ふう……」



起き上がり、出てきた鼻水をぬぐうため、ヘッドボードの小だなにあるティッシュの箱に手を伸ばす。


そのとき、マットレスとヘッドボードの間に、不自然な隙間があることに気づいた。


上体を支えていた私の手が、その隙間に入ってしまったから。



「……?」



薄いセロファンの感触が、指に伝わってくる。


どうやら、小さな箱みたい。


タバコかな?亮司さんはイメージにあわないけど、リョウさんはものすごく似合いそうだな……


きっと、小棚から落ちちゃったんだろう。


そんな親切心から、その隙間に落ちていた箱を救い上げたのが、間違いだった。




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