イケメンSPに守られることになったんですが。
と、思ったのだけど……
「近づくな!!」
隣の悪者(と呼んでしまおう、この際)が怒鳴り、私のポケットから小さな拳銃を取り出した。
そのままそれをごり、とこめかみに当てられる。
背中はすでに汗びっしょりで、新たな冷や汗が流れたかもよくわからない。
「……お前は既に包囲されている。あきらめろ」
「ち……っ」
バリトンさんが言うと、悪者は舌打ちをした。
しかし、拳銃は離してくれない。
私を抱えたまま、きょろきょろと周りを見回す。
「仲間は、警察がいるのに気づいているはずだ。
援軍は期待しない方が良い」
「っ、うるさい!」
「地下道なんかを使おうとしたのが間違いだったな」
ぐ、と悪者がうなる。