イケメンSPに守られることになったんですが。
「どうして……なんて、聞いちゃいけませんよね。すみません」
「謝る事ないですよ。
どうして、か。
うーん……ただ俺の甲斐性が、なかっただけですね」
目の前に笑って座るのは、いつも後に流している前髪が垂れた、普通のイケメンさんだった。
部屋着は普通の黒いジャージ。
昼間のSPである姿が思い出せないくらい、ものすごい普通。
優しくて、イケメンで、地方公務員で。
そんな人でも、ふられたりするんだな……。
「……一緒ですね」
「え?」
「私も半年前、彼氏に逃げられました」
「…………」
「別にもう、どうでもいいんですけどね」
私はピザをもう一切れ、口に突っ込んだ。
女子としてはありえない食べ方だろうけど、口の中がいっぱいだと幸せだから、ついたくさん口に入れて、もごもごしてしまう。
それを見て、少し気まずい顔をしていた亮司さんが笑った。
「あはは、リスみたいだ」
「…………」
あれ?
今なんか、おかしかった……